ご挨拶
日本生協連友の会幹事長の中野邦夫でございます。
このたびの定時社員総会において、二期目となる幹事長に選任いただきました。協会加盟各社への感謝と共に、いま改めて身の引き締まる思いでおります。
就任一期目を振り返りますと、2年半に及ぶコロナ禍は、誰一人として予測し得なかったものであり、かつて経験のない災害級の非常事態が拡大と収束を繰り返しながら、今に至っていると総括できます。
そしてその影響から、生協業界においても、お取引先と共に感染防止と営業継続の狭間で苦闘する日々が続きました。厳しい状況にあっても、従業員の派遣や商品を供給いただいたお取引先、並びに営業継続に向けて各種支援を賜った政府には、業界を代表して改めて感謝いたします。
お陰を持ちまして、今年の3月、4月、そしてGWと足元の商況には、ようやく明るさが見えてまいりました。日によってコロナ禍前の業績を上回ることもあり、特にGWには、こちらも少し心配になる位の人出がありました。
一方、最近の経営環境を見ておりますと、国際情勢の緊迫化ですとか、エネルギー・資源価格の高騰を背景とした物価上昇などが懸念されますが、その半面、円安基調の為替相場は、インバウンド誘致には追い風になりますので、今政府で検討されている水際対策の緩和が進めば、訪日客需要による国内消費の活性化によって、景気にも良い影響が出てくるものと考えているところです。
そのような中、当協会は業界団体として何が出来るか、どのように使命を果たしていくべきかを深く考え、本年度の事業計画を立案いたしました。
今期の基本方針は、活動内容を「自助・共助・公助」と大きく3つに分類しまして、各種の取り組みを確実に実行すべく、詳細なアクションプログラムにまで落とし込んでおります。とりわけ「共助」、即ち「非競争領域」あるいは「協調領域」の課題解決に向け、業界を挙げて協働で対応すること、これが協会に求められている中核的な役割ですので、その点については一層の強化を図ってまいります。
一例を紹介しますと、昨年、経産省の生協研究会において、業界に共通する構造的な課題が様々提起されましたので、協会としては、これを踏まえる形で課題毎にプロジェクトチームを立ち上げ、具体的な解決策の検討を加速することといたしました。
プロジェクトの中には、以前からアパレル業界や食品業界から要請されてきた「派遣販売員の労働環境改善や人材確保の問題」があり、これは生協が働く場として魅力ある産業を志向するための最重要課題と認識し、行動指針を定めて取組むことといたしました。
また、経産省自ら生協研究会を引き継ぐ形で進めてきたワーキングでも、デジタル化や物流改革をテーマに、生協を販路とするサプライチェーン全体で、協調して解消すべき詳細な課題と2030年までのロードマップが提示されましたので、これに対する当協会の取組みも求められています。
いま厳しい状況下にある生協業界が再び持続的な成長を目指すには、協会の下で、まずは非競争領域でのプラットフォームを一つずつ整備し、生産性向上の阻害要因を排除しながら、会員各社が競争領域での健全な競合に専念できる環境を作っていくことが肝要ではないかと思います。
変革をテーマに語ってきましたが、当然、時代を超えて継承すべき生協ならではの業態価値は極めて重要です。「豊かな生活提案」は生協の基本的な使命であり、この使命を果たすには、社会が求める方向で変革していくべきという趣旨であります。
厳しい時代においても、知恵を尽くして変化対応さえ怠らなければ、生協の存在意義は益々高まるものと確信します。そして生協は、会員各社の創業精神にもある通り、ESG投資という言葉が出てくる遥か以前から、社会との繋がりを大事にしてきました。これからも社会課題と向き合い、お客様にご評価いただけるよう、真摯な気持ちで努力してまいりたいと思います。
最後になりますが、生協が提供する価値はサプライチェーン全体で実現しているものですので、お取引先の皆様と共に、長年にわたり我が国消費文化の一翼を担ってきたという矜持を持って、再生への道のりを歩んで頂きたいと考えております。
また、政府当局はじめ関係団体の皆様には、日頃からのご指導・ご鞭撻に感謝いたしますと共に、引き続きご支援・ご厚誼賜りますことをお願い申し上げ、会長就任二期目にあたってのご挨拶とさせていただきます。